パンツ



 私は、とにかく真剣。
 どれにしようか迷ってる。
 隣で友達が呆れた顔してるけど、気にしない。
 付き合わせて悪いなぁとは思うけど。
「これ、長いよね」
 パッケージを指して言う。
「そうだね」
 友人はなんとなーく返事をしてくれる。
「やっぱ、こっちかなぁ」
 なんて、迷いに迷っている私。
 ここが何処かと言えば、デパート。
 紳士服のフロア。
 下着のコーナー。
 だって、欲しいんだもん。
 剛くんとお揃いのパンツ。
 ボクサーパンツはホットパンツの代わりとして使えるもん。
「中、出して見られていいですよ?」
 いつの間にか隣に店員の女性が立っていた。
「コレは、丈が長いですよね?」
 並んでいる商品の一つを見て言う。
「そうですね。ちょっと長めですね。これだとあれくらいの長さです」
 少し離れた棚の上に飾ってある見本を指す。
「あー、長い…」
 呟く。
「短いのだとこちらに並んでいるのになりますねー」
 陳列されたパッケージがみんな同じに見えてしまう。
 紳士服はよく分からない。
「やっぱ、これかなぁ」
 初めからなんとなく、自分が穿くのに丁度良さそうなサイズだと目を付けていたのを見る。
「中を出して見られて良いですよ」
 言いながら店員は私が見ていたパンツの箱を開けて広げた。
「こういう感じですね」
 取り敢えず、イメージに近い感じだった。
「前あきのタイプとボタンのタイプがありますけど。これは前あきですね。ボタンの方がいいですか?」
「いえ、こちらで…」
「あ、前あきの方でいいですか?」
「はい…」
 ボタンあると邪魔そうだし。
 正直、男じゃないからどっちでもいいんだけど。
「長さは?」
「短いのが…」
「だとしたら、やっぱりコレですかねぇ」
 言いながらも他の商品を見る。
「これも短いですね」
 また、箱を開ける。
「あ…いいですよ」
 開けなくてもいいのに。
 もう、これに決めてるんだけど…。
「デザインはちゃんと見ないと…」
 店員の女性はわざわざパンツを広げてくれる。
「あら?これ、ボタンだったわね」
 残念そうに箱に戻す。
 そんなに親身になってもらわなくても…。
「予算はどのくらいなの?」
「それは大丈夫です。このブランドが欲しかっただけですから」
 剛くんと同じのが。
 確かにブランドものだからちょっと高いけど。
「これでお願いします」
 結局、初めに見たのに決めた。
「これでいいですか?」
「はい。これで」
「色はこれでいいですか?」
「はい」
 うん。
 黒でおっけー。
「サイズはSでいいんですかね?」
「はい。Sで」
 だって、私が使うんだし。
 っていうか、Sサイズでも男物だからデカイ。
「プレゼント用の包装でいいですか?」
「え?」
 友人と顔を見合わせる。
 そうだ!
 女二人で男性物の下着を見てたらプレゼントだと思っても仕方ないよ!
 だけど、自分が欲しいだけなんだよね…。
「包装はいいです」
 自分にプレゼントしても仕方ないし。(汗)
「それだと、簡単なのだけになってしまいますけど…」
 そんな申し訳なさそうに言われても…。
「かまいません」
「いいんですか?」
 隣にいた友人にも聞く。
 はっきり言って全く関係のない彼女は戸惑っている。
「包装は…ね?」
 友人に向かって言う。
 私は苦笑したまま。
 彼女もどう反応していいか分からない感じ。
 当然だよね。
 私が使うのに包装も何もあったもんじゃない。
「いいですか?」
「はい」
 私が答えておく。
「値札はとった方がいいですよね?」
 箱の裏に貼られた値札を魅せる。
「そうですね」
 貼ってあっても構わないけど…。
 ない方が嬉しいかな。
 箱、保存したいし。
 店員の女性はシールを綺麗に剥がそうとしていて、なかなか大変そうに見える。
「あの、無理に剥がさなくても良いですよ」
「剥がさない方がいいですか?」
 へ!?
「いえ、剥がしてあった方がいいです」
 なんで、この人、ここまで低姿勢なの?
 なんか、ものすごく申し訳ない気が…。
「お値段、2600に消費税で2730円になります」
 シールを剥がしながら言う。
 財布から金額ぴったり出すことが出来た。
 金を取り出す頃には、シールは綺麗に剥がされていた。
「では、お預かりします」
 商品とお金を持って店員の女性は奥へ消えていく。
「なんか、凄く申し訳ない気分になったよ」
 友人に向かって言う。
「うん…」
「プレゼントって、言われてもね…」
「自分で穿くんだもんね…」
 二人で遠い目になってしまう。
 沈黙。
「お待たせしました」
 紙袋を持って店員が帰ってくる。
「ありがとうございます」
 受け取る。
「ありがとうございました」
 店員の声に送り出されて売場を去る私と友人。
 本当に親切な店員さんだと思いながら。

 で、結局は、家に帰って一人で穿いて、「剛くんvvv」なんて思ってるアホな私でした。



あとがき
はい、本日(書いた日)の実話です。(爆)
アホアホ管理人で申し訳ないっ!!
ボクサーパンツを使ってるという人はたまにいますよね?
え?気のせい?誰か芸能人も言ってたよ!(だから何