夢が覚めて
雨が止む。
二人を閉じこめていた雨が。
もう、キミは戻ってこないんだと知らせる。
ずっと一緒にいたのに。
夢。
あれは、甘い夢だったんだ。
恋という名の幻想を見ていた。
あんなに一緒にいたのに、何も知らなかった。
笑いあって。
確かめ合って。
誰も2人の間には入って来れないくらい。
ずっとずっと。
何も変わらずに。
永遠のような。
けれど、それは永遠なんかじゃなくて。
時間が止まっていただけ。
同じ夢を見ていただけ。
そこには何もない。
ただ、夢の痕。
2人がつき合っていた。
それが事実だってことを自分すら証明できないのに。
一体何がこの夢を見させたんだろう。
一緒にいただけなのか。
俺はキミを幸せにしたいと思ってたはずなのに。
何故なんだ。
ただ、一言で。
二度と同じ夢を見ることはない。
昨日まで、甘い夢の中にいたのに。
現実に戻ってきてしまった。
悲しみもない。
心が空っぽの俺。
いや、むしろ逆。
心の隙間が埋められた。
別れたのに。
何よりも大切だったはずのキミがいないのに。
そう、まるで補完されたような。
満たされたような。
突然。
いつものように甘い夢の中にいた。
だけど、何かが違った。
いつものように甘い時間を過ごした。
だけど、何かが違った。
2人で夜の街を歩いていた。
手を繋いでいた。
寄り添っていた。
雨の降る街を歩いてた。
1つの傘に2人で入って笑っていた。
それなのに。
公園で、足を止めた。
2人以外は誰もいなかった。
何故か向かい合っていた。
見つめ合っていた。
妙な空気だった。
だけど、自然な流れだった。
「別れようか」
そう言ったのは俺。
「愛してる」
そう笑ったのはキミ。
「愛してる」
俺はそう言ってキミにキスした。
今までのどんなキスよりも愛があったと思う。
俺の中にある愛の全てを込めて。
長い長いキス。
傘は地面に落ちて。
呼吸も出来ないくらい激しいキスを。
なのに。
だから。
さっきまでの雨がウソのように止んで。
どちらからともなく唇を離した。
繋いだ手はそのままに。
離せずに。
何故か2人は涙ぐんでいた。
2人は何も言わないまま自分の左手の薬指から指輪を抜き取った。
公園のベンチに並べて置いた。
滲む照明に照らされた2つのリング。
凄く綺麗で。
俺たちは、夢から覚めた。
「さよなら」
キミは笑顔でそう言って、夜の闇に消えていった。
「さよなら」
俺も笑顔で見えなくなった背中に呟いた。
零れる涙を拭くこともしないで、俺はキミと反対の方向へ歩き出した。
なんとなく、別れた。
それなりに寂しさを感じてるんだ。
だけど、後悔なんてなくて。
これでよかったんだ。
いつか、夢からは覚めないといけなかったんだ。
違和感のある左手。
広く感じるいつもの部屋。
昨日まで、本当にキミを愛していたんだ。
確かに、愛していたんだ。
甘い、甘い夢の中で。
あとがき
何だよ、コレ。訳分かんない。
「bird cage」聴きながら書いたらこんなの出来ちゃいました。ごめんなさい。