涙と睡眠



 ふと、夜中に目が覚めた。
 隣に健ちゃんがいることを確認する。
 健ちゃんの寝顔。
 スゴク綺麗。
 カワイイ。
 愛しくて。
 なぜだか、苦しくなった。
 健ちゃんは心地よさそうに寝ていて。
 幸せそうな顔で寝ていて。
 愛しくて。
 愛しくて。
 健ちゃんはキレイで。
 私の愛で汚してしまいそうで怖い。
 健ちゃんのくれる愛は、純で優しくて。
 だけど私は、ずるくて卑怯で。
 それでも健ちゃんのことが愛しくて。
 このままじゃいけないって思ってる。
 健ちゃんはキレイ。
 キレイなままでいてほしい。
 純なままでいて欲しいから。
 だけど、離れられない。
 好き。
 大好き。
 愛してる。
 涙が溢れてきて。
 自分が悲しくて。
 一人で泣いて。
 何も変わらないのに。
 泣いて。
 泣いて。
 泣いて。
 涙がこぼれた。

 健君の眉間に皺が寄って。
 その手が私を捜す。
 私は健ちゃんの横に座り込んだまま、動けなかった。
 健ちゃんは私を見つけられなくて、目を開いた。
「…どうしたの?」
 眠そうな声で訊ねてくる。
「何でもないよ」
 答える私。
「泣いてるの?」
 答えられない。
 どう答えていいのか分からない。
「おいで」
 健ちゃんはそう言って私の腕を引っ張った。
 私は健ちゃんの腕の中に収まる。
 暖かくて。
 気持ちよくて。
 余計泣いてしまう。
「辛いの?悲しいの?全部、俺、受け止めるよ?」
 健ちゃんは優しい。
 本当に優しい。
 優しすぎる。
「健ちゃん…」
「なぁに?」
 暖かい声。
「私、幸せだよ。スゴク、幸せだよ。だけどね、怖いの。きっと、幸せすぎるから」
 健ちゃんが、ぎゅってしてくれる。
「幸せだよ。俺、スッゲー幸せだよ。ずっと一緒にいようね。不安になる暇なんてないくらい、近くにいようね」
 大好き。
 大好き。
「健ちゃん、愛してるよ」
「俺も、愛してるよ」
 どちらともなく口づけて、抱き合ったまま再び眠る。
 朝起きた時にも、幸せそうな健ちゃんの顔を見られることを祈りながら。



あとがき
何なんでしょうね。これ。健ちゃんが脳の中でフィーバーしてます。
やっぱタレントさんが恋人だったら普通以上に不安なんでしょうね。