非通知



 もうすぐ夏休み。
 V6のコンサート行くためにバイトを見つけなくちゃなんない。
 チケはもう取ったけど旅費がない。
 東京に行かなきゃなんないんだもん。
 昨日バイトの面接に行ったけど、あんまり印象がよくない感じ。
 多分、落ちてる。
 けど、希望は捨てられなくって、電話を待つ。
 いつか、携帯が鳴るんじゃないかって思いながら。
 ずっと携帯を気にしてる。

『非通知』
 携帯が鳴って画面に表示された文字。
 お店から?
 お店の人が携帯からかけてるのかな?
 普段は絶対に非通知の電話に出ないんだけど、心当たりがないわけじゃないから、出てみる。
「もしもし?」
 不安な声しか出なかった。
『あのっ!ちゃんですかっ?』
 名前で呼ばれた。
「…は、い」
 お店の人だったら名前で呼んだりしないよね?
 友達?
 でも、非通知なんだよね…。
 誰?
 どっかで聞いたことある声な気はするんだけど。
『はじめまして!三宅健ですっ!!』
 は?
 ミヤケケン?
 三宅健?
 健くん?
 …この声、健くん?
 健くんの声?
『あれ?ちゃん?』
 知ってる。
 この声、知ってる。
 健くんだ。
 健くんの声だ。
ちゃ~ん??』
「は、はいっっ」
『あ、返事した』
 反射的にですけど…。
『ビックリしたじゃん。突然黙っちゃうからさぁ』
「ごめんなさい」
 って何に謝ってるの?私。
 ビックリしてるのは私の方だよ。
 本当に健くんなの?
 確かに私の知ってる健くんの声なんだけど。
 信じられる?
『ファンレターくれたでしょ?』
「はい…」
 健くんにファンレターって…月に一回くらい出してるよ、私。
『この前届いた手紙に電話番号書いてあったからかけてみたんだぁ~』
 かけてみたんだぁ~って。
 かけてみたんだぁ~って。
 かけちゃったの!?
 かけるの!?
 かけないでしょ、普通。
 そんな簡単なことじゃないよね?
 でも、今、確かに健くんと私話してるよね?
ちゃんさ、オレがデビューする前からずっとファンレターくれてたでしょ?』
 え?
 私の手紙、気付いてくれてたんだ?
 私のこと、知ってたんだ?
ちゃん、プリクラ貼ってくれたことなかったじゃん?どんな人かすんご~く気になってたんだけど、ライブで見つけることもできなくてさぁ』
 私なんかのプリクラ貼れないよぉ。
『手紙送ろうかとも思ったんだけど、なかなか時間なくてさ』
 手紙?
 健くんが、私に?
『だからね』
 なんか、健くん楽しそう?
『今、ちゃんから来た手紙読み終わったんだけど…電話番号、見た瞬間かけちゃった☆』
 本気?
『住所以外の個人情報書いてくれたのはじめてでしょ?嬉しくなっちゃってさ』
 嬉しい?
 健くんが嬉しい?
 嬉しいのは私だよ?
『いつも応援してくれて有り難うね!オレ、これからも頑張るから!!』
「はいっ!頑張って下さいっ!」
 私には応援することしかできないから。
 でも、応援だけならできるから。
『あ、ゴメン!もう切らなきゃ!仕事の合間にかけちゃったから…』
 そうだよね。
 健くん忙しいもんね。
『いきなり電話しちゃってゴメンね?話せて嬉しかったよ!』
「私の方こそ…」
『夏のコンサート来るんでしょ?いま、超楽しめる企画考えてるから楽しみにしててね!』
「はいっ!!」
『じゃぁね!今度手紙くれるときは写真ヨロシク!!ライブで見つけられるようにね!』
「ええ!?」
『ヤバ!マネージャーだ!!じゃぁ、切るね!バイバイ!!』
「あ、さようなら!」

 電話が切れた。
 手が、震えてる。
 涙が、溢れてる。
 いつから?
 いつからこんな状態だったの?
 全然、気付かなかった。
 だって、夢みたいだったから。
 でも、夢じゃないよね?
 夢じゃない。
 携帯に残る非通知の履歴。
 健くんからかかってきた電話が現実だって教えてくれる。
 夢じゃない。
 健から電話がかかってきたんだ。

 夏のコンサート、絶対に会いに行くから!



あとがき
わけわかんないですね。あはははは。
いや、突然、健君が電話で「三宅健ですっ!」って言ったら昇天できそうな気分だったんで。(何)