君にキスと花束を



 君は、僕のことを知らない。

「あら?今日もお見舞い?」
「はい。仕事が休みになったので」
「友達思いね」
「そんなことないですよ」
 そんなことない。
 オフの日は君に会うために病院に来る。
 だけど、僕は友達思いなんかじゃない。
 君と友達じゃない。

「久しぶり」
 病室で眠る君に話しかける。
 返事はない。
「今日は花を買ってきたんだ」
 無機質な部屋の中に花瓶が一つだけ。
 その花瓶の中身を入れ替える。
 この花瓶も僕が買ってきたんだっけ?
 君は、いつもこの部屋にいるの?
 僕は自分の仕事の空いた時間にしか君に会いに来れない。
 だけど、君の見舞いに来た人に会ったことがない。
 君は、一人なの?
 家族は?
 友達は?
 どうしていつも一人なの?
 僕は、何も知らない。

 君の手をとる。
 あたたかい。
 冷たい部屋の中で。
 君だけが暖かい。
 眠ったままの君。
 目を覚まさない君。
 いつから眠っているの?
 いつまで眠っているの?
 君を見ていると自然に涙が溢れてくる。
 何故だか分からないけれど。
 止まらないんだ。
 君を思うと、涙が止まらないんだ。

 僕と君の関係。
 分からない。
 友達ですらない。
 友達の見舞えに来たとき、偶然病室を間違えた。
 そこにいたのが、君。
 一目惚れだったんだ。
 笑っちゃうよね。
 君がどんな人かも知らないのに。
 君の声も、君の笑顔も。
 僕は何も知らないのに。
 いつか、君が目を覚ましたら、告白したいんだ。
 君のこと、何も知らないのに。
 愛してしまったんだ。

 空が青い。
 雲が白い。
 外は暖かくて、この部屋は冷たい。
 君が眠り姫なら王子様のキスで目覚めるのに。
 どんなに近くにいても、君は目を開かない。
 僕の想いは君に伝わらない。

 君は、僕のことを知らない。



あとがき
うぎゃ~!!!謎なの書いちゃったよ!!ごめん!健君!!
てか、どうよ?もう、何も言えませんな。
暗いよ、アタイの頭の中、真っ暗闇だよ☆