未完成方程式11
「なぁ、剛!聞いてくれへんか!?」
「ん?どないしたん?」
楽屋に入って来るなり、光一は珍しく僕に泣きついて(?)きた。
「のヤツ、マジでムカツクんや!」
僕の気持ちなんか知らへん光一は、平気でちゃんの話題をふってくる。
正直ええ迷惑や。
「ムカツクって?」
「俺が頼んどった番組録画し忘れ取っても笑っとるだけなんやで!?」
「ふーん」
なんや、くだらんケンカか。
「一回くらいやったら許すけど、これで五回目や!五回やで!五回!!いくら何でもわざととしか思えへんやんけ!」
自分で録画すればすむ話ちゃうんやろか。
「何を録画するように頼んどったん?」
「F1に決まっとるやんけ!」
あぁ、ね。
一日中光一のF1の話に付き合って、録画頼まれたら確かにわざと録らへんかもしれへんな。
ビデオあったらそれ見るんに一生懸命でちゃんと会話もせぇへんのやろうし。
「何やねん、その顔」
僕のあきれ顔に気づいた光一は僕を睨んどった。
「別に」
ちゃん、こんなヤツと付き合って幸せなんやろか。
なんや少し可哀想に思えてきた。
「なぁ、光一」
「なんや?」
何よりも大切なはずな相方が、こんなにも憎く思えたことが今まであったやろか。
「もっとちゃんとちゃんの気持ち大切に考えなあかんよ」
「は?なんやねん、突然」
光一が真顔になった。
「ちゃんが寂しい思いをしたり、幸せや思えへんようになったら、僕がちゃんを貰うから」
貰う、なんて言葉は使いとうない。
「お前、何言うてんねん?」
光一の表情がくもる。
「僕は、ちゃんに幸せになって欲しいねん」
ウソやない。
本当の気持ちや。
「まさか、剛、お前、の事……」
知られたらあかん。
悟られたらあかん。
「まさか。あんまりくだらんことでキレとるからちょっとした忠告や」
笑う。
笑わなあかん。
冗談やって思わせな。
「くだらんってF1やで!?」
光一の顔がゆるんだ。
良かった。
僕の気持ちを気付かれてへんみたいや。
「お前にとって大切でも、普通の女の子にとっては、そんなおもろいもんちゃうんやで?」
男の僕でも共感出来へんのに。
「なんやねん、おもろいのに」
光一はいじけてみせる。
平和や。
ちゃんが幸せならええ。
幸せでいてくれれば、きっと、そのうち、いつか忘れられるはず。
「剛」
「なんや?」
「ありがとな」
そう言って、光一は笑った。
あとがき
ようやくおわりました!
途中で日付飛びまくってますが、無事にww
長い間お付き合い頂いた方、本当にありがとうございました!!