側にいたいから5



<side  健>

 俺の部屋。
 見慣れた部屋。
  を抱く場所。
 愛なんてない。
  は人形みたいに抱かれるだけ。
  が長野くんを好きなのは分かってる。
 だけど、俺は を愛してる。
 この気持ちは変わらない。
「ねぇ、
 俺はベッドの中で の名前を呼ぶ。
「何?」
「愛してるv」
「そう」
 伝える。
 でも、応えてくれないから。
  が好きなのは長野くんだけ。
「俺の名前呼んで?」
「…健」
「ありがとぉ」
 愛のない、でも情のある声で呼んでくれる。
 もう戻れないね。
 本当に恋人だった頃には。

 恋人って何だろう。
 俺と は恋人同士。
 まわりはみんなそう思ってる。
 でも、俺と はそう思ってない。
 はじめはちゃんと恋人だった。
 ううん、そう思ってたのは俺だけだったのかもしれない。
「好きな人がいないなら、つき合ってよ」
 そんなことを言ったのは俺。
 俺を少しずつでも好きになってくれればいいと思っていた。
 だけど、 が好きになったのは長野くんだった。
 愛しい のことだから、すぐに気付いた。
 惹かれはじめてるって分かった。
 でも、俺は気付いていないフリをした。
 そして、 を前以上に束縛した。
 いつ、俺の前から が去ってしまうのか、不安でたまらなかった。
 もう、3ヶ月。
 俺たちは恋人のフリを続けてる。
 口にする言葉も、二人がする行為も、恋人のそれ。
 でも、気持ちだけは違うんだ。
 二人とも、真実を口にしない。
 言えば壊れてしまうから。
 二人の関係が。
 俺の心が。
  の心が。
 だから、こんなにも不毛で、残酷で、傷つくしかない関係を続けていくんだ。

あとがき
再び健くんの苦悩の独白です。(謎)
次で終われませんでした。もうちょっと付き合って下さい。
オチがない可能性が高い。っていうか、ほぼ確定?