似すぎた二人3
「ごめん、撮影おしちゃって」
「うん。そうだろうと思ってた」
坂本くんは私の隣の席に座りながら言った。
「呼び出したうえに遅刻だなんて格好悪すぎだよなぁ」
「いいんじゃない?遅れたのは仕事だったからだし。呼び出したのだって、博…長野くんの為でしょ?」
坂本くんの動きが一瞬止まった。
「マスター、何か飲み物くれる?…
ちゃんと同じのでいいや」
何かを誤魔化すかのように坂本くんはカクテルを注文した。
それから、マスターがカクテルを坂本くんに渡して、それを彼が一口飲むまで2人とも黙ったままだった。
「長野と別れたんだってね」
「うん」
「…すごく仲が良かったよね?」
「そうね」
「アイツ、
ちゃんと別れてからも無理して仕事してるけど、壊れそうでさ」
「…そう」
分かってた。
あの人は一人で悩むの。
誰にも相談しないで、自分を追い詰めて、壊れてしまう。
とても弱い人。
私が支えてあげたいと思っていた。
「ねぇ、
ちゃん。何が原因なのか聞いていい?」
「ないよ、そんなの」
「原因もなく別れたりするの?」
「ダメ?」
「ダメとかそういう問題じゃないだろ?」
坂本くんは私を悲しそうな目で見ている。
何で?
「じゃぁ、長野くんに飽きたって言えばいい?」
偽物の笑顔で言う。
仕事をしている時のあの人みたいに。
悪い女を演じればいい。
そしたら、これ以上博を傷つけないでいい。
「変わったよな…
ちゃん」
「…え?」
「長野にそっくりだよ」
博に?
「本当は辛いのに、何でもないかのように笑うんだ」
…気づかれた。
博も気づいてくれなかったのに。
「何、ソレ」
わざと辛辣に返す。
「そうやって2人ですれ違って別れたの?」
すれ違い?確かにそうかもしれない。
でも、私には耐えられなかった。
「似すぎてるんだよ、長野と
ちゃん。2人とも気づいてないけど」
似ている?
博と私が?
「きっと、2人は同じことで悩んでいたんだと思うよ」
同じことで?
博が私と同じ気持ちでいたっていうの?
「…そんなの、信じられない」
「ずっと悩んでたんだって長野が言ってったよ」
知ってる。
博がいつもと同じ笑顔で私といてくれるのに、本当に笑ってはいなかったから。
何かに悩んでいるって分かった。
だけど、博は何も言ってくれなかった。
それまで、悩みは自分から打ち明けてくれていたのに、言ってくれなかった。
だから、聞けなかった。
「…それで?」
「アイツ、
ちゃんが何かに悩んでいるのに何も言ってくれなかったって。笑顔でいようとしているから聞けなかったって。どうしていいか分からなかったって」
…うそ。
博は気づいていたの?
私と同じ気持ちだったの?
あとがき
っていうか、この女性、何歳なんだろ?30くらい?うん。そんくらいだろう。考えて書けってか。
なんだか坂本さん、いいひとね。(おい)