似すぎた二人5



 店から出たのは1時。
 2人で町を歩いて気を紛らわせる。
「どこにいこうか?…でも、そろそろ寝ないといけないんじゃない?ちゃん、明日も仕事なんだろ?」
「…明日は休む。行きたくない」
 何も考えたくない。
 博に会わなきゃいけない。
 どうしていいか分からない。
 考えなくちゃならない。
 博に会いたい。
 だけど、会いたくない。
「無理はすんなよ?」
 坂本くんは、凄く自然に私を気遣ってくれる。
 私のことを一番良く知っているから。
ちゃん、家まで送るよ。…一人で大丈夫か?」
 私は首を横に振った。
「そっか。俺、明日オフだから一緒にいてやれるけど…」
 一人になりたくなくて、坂本くんの腕にしがみついた。
「俺が ちゃんの家に行けばいい?」
 私は、また、首を横に振った。
「坂本くんの家がいい」
 私は心配そうにしている坂本くんに小さく答えた。
 私の家には帰りたくなかった。
 あそこには博との思い出が沢山あって辛いから。
「じゃぁ、行こうか。大丈夫だよ、 ちゃん。眠ればその間だけでも辛いこと忘れられるよ」
 優しい言葉を私にくれる。
 そうして、私は久しぶりに坂本くんの家に行った。

 坂本くんの家に泊まるのは初めてじゃない。
 前は時々泊まりに来ていた。
 そう、博と出会うまでは。
 恋人同士じゃなかった。
 たまたま出会った男と女が身体を暖めあっただけ。
 一度だけ。
 傷を舐めあっただけ。
 似たもの同士だったから。
 何となく立ち寄った「AIR」で知り合って、ラブホテルに行った。
 する事をした後で、悩みを打ち明けあった。
 2人は同じように悩んでいて、一人じゃ生きて行けなくて。
 もう、身体を繋げたりしなかったけど、一緒にいることが多かった。
 親友?
 …少し違う。
 互いに相手の良き理解者で。
 他人だから、自分の生きている世界と関わりがないから、一緒にいられた。
 何でも話せた。
 坂本くんは私の弱いところも、汚いところも知ってる。
 私が博と出会うまで、一緒にいたから。



あとがき
ようやく5話ですね。まだまだ続きます。そして博は次回も出てきません。いいのかよ、おい。
何だろね、長編書くと暗くなりがち。