似すぎた二人8
坂本くんの腕の中で夜を越した。
それは、本当にただ、腕の中にいただけで。
何もなかった。
昨日からずっと私と坂本くんは一緒にいて、その坂本くんは、昨日の服を着たまま、今、博の前にいる。
私も、昨日の服のまま。
「なんで?なんで坂本くんに
の香水の匂いがついてるの?」
移り香。
ずっと一緒にいたから。
「抱いたの?」
衝撃。
今、博はなんて言った?
「
のこと、抱いたの?」
「そんなこと、するはずないだろ」
坂本くんは否定する。
だけど、博は信じてくれなくて。
信じるはずなんてなくて。
私が悪いのだけれど。
その言葉は、私に刺さる。
自業自得。
「2人して俺をバカにしてたの?考えてみれば坂本くん、ずっと
のこと避けてたよね?あれって、2人が付き合ってるのを隠すためだったの?」
「違う!!」
「何だよ、何が違うんだよ。まだ言い訳するの?」
「いいかげんにしろ!!」
坂本くんが怒鳴った。
「俺のことを疑うのはかまわない。だけど、
ちゃんまで疑うなよ!!」
そう言って、坂本くんが博の胸ぐらを掴んだ。
「もぉ、やめて…」
私にはどうすることも出来なくて。
全部、私が悪いのに。
博から逃げたのは私。
逃げ続けているのは私。
勝手に裏切ったのは私。
なのに。
2人に全てを押し付けてしまった。
坂本くんと博は睨み合ったまま動かない。
私は、重い扉を開けた。
「…ごめんなさい」
博に向かって言った。
私と博の視線が合った。
博は、驚いている。
坂本くんは博から手を離して、私に声をかけた。
「でてきちゃったんだ…」
「ごめん…でも…もぉ、これ以上2人を…」
坂本くんが私のところまで来て、指で涙を拭ってくれた。
「泣かないで。長野の前では笑顔でいるんだろ?」
それは、坂本くんと別れたときに私が言った言葉。
博の隣では、いつも、笑っていたかったから。
「坂本くん…」
私の優しく微笑んで、坂本君は博の方を向いた。
博が私と坂本くんを見ていた。
うつろな目で見ていた。
「…博」
私が名前を呼ぶと、博は私と目を合わせた。
「ごめんね。ごめんね」
ただ、謝ることしか出来なくて。
「「ごめん」って何?」
博がようやく口を開いて。
「何に対する「ごめん」なの?」
「博をたくさん傷つけたから。全部、私が悪いの。なのに、博と坂本くんに全部押しつけてた。だから、ごめん。ごめんなさい」
涙がどんなに流れても、この罪は流れていかないって分かっているのに、止まらない。
「分かんないよ…。俺、
が何を考えてるのか、全然分かんないよ」
博がうつむいた。
それは、仕方のないこと。
本心を隠したのは私。
過去を隠したのも私。
別れようって言ったのは私。
離れていったのも私。
「分からないなら、知ればいいんだよ」
坂本君が言った。
「話せばいいんだよ。嘘なんてつかずに。偽ってたってろくなことないんだから。すれ違う前に話し合えば良かったんだよ」
優しい声。
「今からでも遅くはないはずだから。
ちゃんも長野も、もっと相手に干渉していいと思うけど?誰だって不安になるし、相手の全てが分かるハズなんてないんだから。話せばいいんだよ。確かめれば。それだけで、随分変わるはずだからさ」
坂本くんは、いつも優しくて。
坂本くんは、私をかばってくれる。
坂本くんは、博のことも大事なのに。
「なぁ、
ちゃん。全部話してしまわないか?長野に、全部」
全部?
博に、全て話してしまう?
「これ以上、
ちゃんが苦しむ必要なんてないんだよ」
私が苦しまなくてすむ?
私は苦しんでいた?
私は苦しかったの?
…苦しかったんだ。
気づかないフリをしていただけ?
苦しかった?
苦しかった。
「長野、知りたいんだろ?本当のこと。それから、俺と
ちゃんのこと」
博は坂本くんを見た。
坂本くんは私を見る。
私の返事を待っている。
「ねぇ、博。私の話、聞いてくれる?」
あとがき
うー。なんか、話がダラダラ続いてすみません。脳が貧困で。
まだまだ続いてしまいます。多分全部で13話。あと5話おつき合い下さい。
博君、ごめんね。こんなキャラで。(汗)でも、これも私の愛から生まれていたり…。