似すぎた二人9



 立って話していても仕方がないからと、坂本くんがリビングへ移動しようと言った。
 博は何も言わなかったけど、リビングまで来てくれた。
 2人分の食べかけの料理が並んだままのテーブル。
 博はそれを見て、眉をしかめた。
 私が片づけようとすると、そのままでいいと博が言った。
 私の隣には坂本くんが、正面には博が座った。
 私は博をまともに見れなくて、何を話せばいいのかも分からなかった。
 ただ、博の視線が怖かった。
 博の視線が痛かった。
「長野」
 坂本くんが口を開いた。
「知りたいことがあるだろ?俺と ちゃんのこととか、正直、何から答えたらいいのか分からない。お前の質問には正直に答えるよ。絶対嘘はつかないから」
 坂本くんの言葉に、私も頷く。
「そう」
 博は低い声で答えた。
 そして、妙に落ち着いた声で質問をしはじめた。
「2人は付き合ってるの?」
「違う」
 坂本くんが答える。
 私は首を横に振る。
「昨日は、2人一緒にいたの?」
「ああ」
 坂本くんが答える。
 私は首を縦に振る。
「一緒に寝たの?」
「…同じベッドで寝た。だけど、何もしていない」
 坂本くんが答える。
 私はその言葉に頷く。
「じゃぁ、今までにそういう意味で寝たことは?」
 ためらう私。
「あるよ」
 坂本くんが答える。
 博が驚いている。
「1回だけ、あるよ」
 坂本くんは冷静に答える。
「… 、本当なの?」
 博が私を見る。
 ためらう私。
 でも、嘘はつかないって決めたから。
 それなのに、言葉にする勇気はなくて。
 ただ、頷くだけ。
 それが精一杯。
「いつ?」
 博の声のトーンが変わった。
 弱々しい声。
「お前と ちゃんが出会う前だよ」
「ま…え?」
「ああ」
「前から知り合いだったってこと?」
「そうだな」
「じゃぁ、いままで何で全く知らない人みたいに接してたの?」
「…全部知ってたからだよ。 ちゃんと俺は、何て言うか相談相手みたいな関係だったからさ。知りすぎてたんだよ」
「何で?」
「他人だからよかったんだ。どんなに深刻な話をしても。関係のない世界のことだったから。でも、顔見知りになるには近すぎたんだよ」
「わからないよ」
 博が言う。
「つまり、 ちゃんのこと、彼氏であるお前よりも俺の方が知ってるし、分かってるってこと。そんなの、言えるわけないだろ? ちゃんの過去とか、何に悩んでることとか、長野より分かってるなんてさ」
「私がね、言ったの。もう、会わないでおこうって。黙っておこうって。博と出会ったときに。もし、博と恋人同士になってなかったとしても、もう、会ってなかったと思う。きっかけでしかなかったの。思い出にしようとしていたから」
「もう、全部、長野と ちゃんが出会ったときに終わってるよ。身体を重ねたときは、 ちゃんの名前しか知らなかったし。なんていうか、ゆきずり?言葉、よくないけど。そのときしか、そういうことはしてない。それからは、 ちゃんはずっと俺の心の支えだった。 常に俺にとって、味方だったっていうか。俺の弱いところ、全部受け止めてもらって、癒してもらってた。 ちゃんの存在自体が、もう、癒しだったのかもしれないんだけれど」
 博は、ただ、黙って聞いている。
「私…もなの。坂本くんは、いつでも私の味方で…。弱い自分、受け止めてくれる唯一の存在だった。優しくて、あったかくて、安心できた。だけど、だけどね、坂本くんは恋人でも友達でもなかった。ただ、そこに存在していてくれる。それだけだったけど、それが安心できた」
「…ねぇ」
 博が口を開く。
「なんか、バカップルのノロケを聞いてる気分なんだけど?」
「違うの!!」
 思わず叫んだ。
「私は博が好き。博を愛してる。博じゃなきゃ嫌。博の側にいたい。坂本くんなんていらない。博だけいてくれればいいの。他に何もいらない」
 博さえ、いてくれればいい。



あとがき
なんか、意味不明?????ごめんね、まーくん、博。君たち謎だわ。
やっとこさ博に女の子告白してるケド…。時間がかかりすぎなのね。(汗)