sweet baby9



 仕事が終わってすぐに車を飛ばしてきたと言う博の髪の毛は黒かった。
「吉田くんだぁ」
 は嬉しそうに博をもてなす。
「一応変装?」
 博は笑いながら応える。
「アイドルだもんねー」
 も笑う。
「ちょっと待ってて。今、お茶を淹れるから」
 火に掛けたやかんの様子を見ながらは冷蔵庫を覗く。
「でも、よかった。ちゃんがここでの暮らしに慣れてきたみたいで」
「だって、すごく良いところだよ。管理人さんもいい人だし。空気も食べ物も美味しいし」
 そう言ってはケーキの箱を取り出す。
「すごく美味しいケーキ屋さん見つけたの。食べてみる?」
「食べる!!」
 博は目を輝かせて即答する。
「はい、どうぞ」
 はケーキを皿に載せ、博の前に置く。
「いただきます♪」
 博が幸せそうにケーキを食べだす。
「ん。おいしー☆」
「よかった」
 が淹れはじめた紅茶の香りが部屋に充満していく。
 会話は途切れて、静かな時間が過ぎる。
 暖かい空気の中でケーキと紅茶を楽しむ。
「あ、そうだ」
 紅茶をすすっていた博が口を開く。
「どうしたの?」
 はフォークを置いて博を見た。
「これ食べ終えたら、管理人さんに挨拶にいかないとだよね」
 博は思いだしたように言う。
「え?」
 は博が言ったことが理解できず、博を見ている。
「だって、引っ越しの時、俺、挨拶行ってないでしょ?俺、一応単身赴任中のちゃんのダンナなんだし」
 博はに微笑む。
「長野くん…」
「俺、冷たい人間だなんて思われたくないしね」
「そんなことないって!」
「大丈夫!俺、これでも役者だから、普通のサラリーマンのメチャクチャいいダンナ演じてやるって!」
 博が笑う。
 も笑う。
「夫婦だもんね」
「夫婦だからね」
 2人、微笑んだ。



あとがき
ほのぼの~。って、この作品唯一のほのぼの系かも??
なんでか緊迫してますからね~。え?私がさせてるって?
…言っちゃダメ。