微熱02



 カミセンが仕事で健が家にいないとき、トニセンが遊びに来ているときもある。
 というか、仕事の空いてるメンバーは、この家によくいる。
「なぁ、ちゃん俺の嫁にしていい?」
「は?何で井ノ原に俺の娘を渡さなきゃなんないんだ?」
「坂本くん、ちゃんは健の娘でしょ?」
 トニセン三人が揃うとにぎやかなもので。
 は笑う。
「仲良くしてよね」
 そう言って、立ち上がる。
「お茶でもいれてくるね」
 を三人に託してキッチンへ。
 棚の一角で視線をとめる。
 そこには、いろいろな種類の茶葉が並べられている。
 紅茶、中国茶、日本茶。
 はお茶が好きで、少量ずつコレクションしている。
「まーくんいるし、日本茶かなぁ」
 緑茶を手にしてから、やかんで湯を沸かす。
 それから、茶器を揃える。
「よしっ」
 必要な用具を並べて、は湯が出来るのをまつことにした。
「さすがだね」
 は後ろから声をかけられて振り返る。
「長野くん」
 そこには、博が立っていた。
ちゃんって本当においしいお茶いれてくれるよね」
「そうかな?ありがとう」
 博はが用意していた茶葉の入ったビンを手に取る。
「玄米茶かぁ」
「あ、うん。なんとなくね。ダメかな?」
 は博に問う。
「いいんじゃない?」
 博は笑顔で応える。
「そう?よかった」
 はにっこり微笑んで、視線をやかんに戻す。
 沈黙。
 博はを見つめたまま動かない。
「…何?」
 が声をだす。
「別に。なんか、安心したっていうか」
「え?」
「健とちゃんと夫婦してんだなって思って」
 微笑む博に、は一瞬固まる。
「知ってる仲だって言っても、恋人同士じゃなかったんだし」
「長野くん…」
 はうつむいてしまう。
「ごめん!俺、そんなつもりじゃなくて」
 あわてた様子の博。
 一呼吸置いてから、を見つめる。
「確かに、はじめはどうなることかと思ったけど、俺は、二人が、二人共幸せなら、それでいいと思ってるんだ」
「幸せだよ」
 は小さく微笑んだ。
「あの人のことは俺に任せてくれてていいから。もっとも、もう大丈夫そうだけど。一年も経つんだし」
「うん。ごめんね。ありがとう」
「いいって」
 しばらく二人は無言のまま、やかんから立ち上る湯気を目で追っていた。



あとがき
常にキーパーソンが博だなぁ、とつくづく思います。
しかたないさ。おいらがかくんだから。(コラ