01.健



 ボクには、彼女になって欲しい女の子がいる。
 
 だけど、何故か友達どまり。
 可愛いなーと思って、いい印象を残そうとした……のが、今にしてみれば間違いだったのかも。
 かぶった猫のせいで、手も足も出せない。
 策士策におぼれるってこういうことだと思うんだ。
 だけど、少しずつでも、近づいてやる。

「ねーねー、ちゃん」
 そう、未だに”ちゃん”づけ。
 心の中では呼び捨てなんだけど。
 ボクは猫さんだから、呼び捨てにできない。
「なぁに?」
ちゃんってコンサートでいつも坂本くんのうちわ持ってるよね」
 気になっていたこと。
 坂本くんに負けてるようじゃ、彼氏になんてなれない。
「うん。だって、坂本くんのファンだし」
 ファン。
 うーん、ファンねぇ……。
「そっかー、じゃぁさ、ボクたちの中で彼氏にしたいなーって思うのは誰?」
 いっそのこと、核心をついてみるかな。
「えぇ?」
「だってほら、ファンってあこがれでしょ?彼氏にしたいってのは現実的な意味じゃん?」
「そ、そうかなぁ……」
 言葉を濁し、ちらりと坂本くんを見る。
 これはもしかして……。
「坂本くんが目の前にいたんじゃ言いづらい?」
 コクリと頷く。
 つまり、坂本くんは恋人にしたい訳じゃないんだ。
「大丈夫、聞こえてないって」
「で、でも……」
 これは、脈アリ?
「じゃぁ、ボクにだけ教えてよ」
 そう言って、の口元に耳を近づけた。
「あのね……」



あとがき
かなり久しぶりの更新になり、申し訳ないです。
3話の短めですが、おつきあい下さい。