汚れた街の隅で
雪が降る。
真っ暗な夜に白い雪。
それなら絵になるのに。
街は明るくて。
星のない空に、夜が暗いことを忘れさせるようなネオン。
間違ってる。
朝も昼も夜もなくて。
秩序なんてどこにもなくて。
寒い。
怖い。
震えが止まらない。
分かってる。
私がバカだったの。
逃げるのが精一杯で。
隠れるのが精一杯で。
しゃがみこんだら、動けなくなった。
ひとりぼっちで。
怖いよ。
どうして、こんな所に来たんだろう?
ひとりぼっちが嫌で。
一人でいたくなくて。
だから、この街に来たのに。
怖い。
人はたくさんいるけど、結局一人。
他の誰かといるためには代償が必要。
そんなの、ヒドイ。
狂ってる。
友達になるために、お金がいるの?
恋人になるために、身体がいるの?
間違ってた。
私、間違ってた。
帰りたい。
帰りたいよ。
友達は自分で作るから。
頑張ってみるから。
ここはもう嫌。
誰か、助けて。
「坂本くん、もう帰っちゃうのぉ?」
女の声を無視して歩き出す。
いくら仕事のつきあいでも、こんな店いたくない。
こんな狂った世界にいたくない。
こんな街……。
あれ?
路地裏に誰かいる?
女の子?
震えてる。
頭に少し雪が積もってる。
「どうしたの?」
声をかけた。
なぜだかよく分からない。
いや、彼女がこの街の住人ではない気がしたから。
顔をあげた彼女は、泣いていた。
真っ青な顔で俺を見上げている。
「大丈夫?」
頭の上の雪を振り払ってやった。
誰かが、私の前に立った。
「どうしたの?」
声が聞こえた。
見上げる。
だけど、ネオンの逆行で顔が見えない。
「大丈夫?」
優しい声。
この人は、この街の住人じゃない。
そんな気がする。
その手が、私の頭をなでて。
落ちてくる雪のかたまり。
頭の上に雪が積もっていたんだと知る。
振り払ってくれたんだ。
「ありがとう」
声にしたかったのに、かすれた音にしかならなかった。
その人は、しゃがみこんで。
私と同じ目の高さになる。
やっと、顔が見えた。
知ってる人。
だけど、知らない人。
坂本昌行?
「ありがとう」
凄くかすれた声。
だけど、確かにそう聞こえた。
彼女の目の高さまで腰を下ろす。
それから、微笑んだ。
礼が言える人だ。
悪い人じゃないと思う。
彼女は凄く驚いた顔をした。
そりゃそうだよな。
俺、一応アイドルだし。
彼女の手を取る。
冷たい。
一体どれだけ長い間ここにこうしていたんだろう?
彼女は、俺にしがみついて泣き出した。
あったかい。
この人の腕の中はあったかい。
ずっとこうしていたい。
だけど、ずっとこうしていられるはずもない。
身体を離す。
「ありがとう」
今度は声になった。
「よかった」
彼は笑った。
そして、立ち上がった。
行ってしまう。
また、一人になる。
「何でココにいて、何があったかなんて聞かないから」
彼はそう言って笑う。
優しい人。
彼の手が、目の前に差し出された。
「一緒に、この街から出よう?」
迷う事なんて、なかった。
ずっと一緒にいたいと思っていたから。
この街を出たら「さよなら」かもしれないけど。
少しでも長く一緒にいたい。
もう、この街にはいたくない。
二人、手を繋いで。
自分たちがいるべき世界へ。
あとがき
……正直、痛いw
えと、書いたのはいつですかね?(聞くな
以上、発掘物でした~。