オムライス



「まーくん♪」
「んー?」
 私が後ろから抱きつくと、まーくんは面倒そうに私の手を外す。
 なんで?
「まーくん?」
「何?。何か用?」
「用って…」
 一緒にいたいだけだよ。
 ずっと、隣にいたいだけなの。
「ゴメン、今日は疲れてるから」
 まーくんはそう言って、一人ベッドに潜る。
 なんで?
 久しぶりに会えたのに。
 私に会いに来てくれたんじゃないの?
 何しにうちに来たの?
 疲れてるから、何?
 ベッドさえ有れば何処でも良かったの?
 ねぇ、まーくん。
 なんで?

 まーくんはそのまま寝てしまった。
 仕方がないから私もベッドに入る。
 だってコレ、私のベッドだし。
 まーくんが占領する理由なんてないし。
 それに偶然かもしれないけど、ベッドが半分空いてるし。
 まーくんが意識して空けててくれたって信じたい。
 壁に向かって寝ているまーくんの背中に頬を寄せる。
 まーくんの臭いがする。
 大好きなまーくん。
 愛してる。
 なのにどうして?
 なんで、まーくんは私を見てくれないの?
 私のうちにきて、私を見てくれないの?
 分からないよ。
 私、まーくんがわからない。
 まーくんの仕事が忙しくて殆ど会えないのに。
 電話で話すことでしか、まーくんのこと感じられないのに。
 会えたのに。
 せっかく会えたのに。
 どうして、こんなに遠いの?
 隣にいるのに、遠い。
 いつのまにか涙が流れていた。
「…まーくん」
 呟いた私の掠れた声は暗闇に消えた。
 まーくんは隣にいるのに、ひとりぼっちな気がした。
 部屋に、私の嗚咽だけが響く。
 まーくんを思って泣く。
 まーくんが分からなくて。
「……」
 寝言。
 まーくんは私の名前を呼んで寝返りを打った。
 そして、私の背中に腕を回す。
 あなたの夢の中に私はいるのね?
 いらない存在じゃないのね?
 良かった。
 それだけでも分かって良かった。
 側にいても良いんだよね?
 私、まーくんがいないと生きていけないんだからね?

 目が覚めると、隣にまーくんはいなかった。
「…まーくん?」
 どこにいったの?
 いななくなったの?
 帰っちゃったの?
 私、いらなくなったの?
 起きあがって寝室を出る。
 匂い。
 美味しそうな匂い。
 キッチンを覗くとまーくんがいた。
「おはよう、
 まーくんが笑顔で言ってくれた。
 昨日のまーくんとは別人みたい。
「朝食、作ったよ」
「あ、うん」
 テーブルの上にはまーくん特製のオムライスが並んでいた。
 何で?
 まーくんがうちに来て料理してるだけでも珍しいのに。
「食べよ?」
 まーくんが席に着く。
 私も席に着いた。
「…いただきます」
 妙にニコニコしてるまーくんを不思議に思いながら一口食べる。
「いただきます」
 まーくんも食べ始める。
「ねぇ」
「ん?どうしたの?」
「…何で、突然オムライスなの?」
 まーくんは少し困ったような顔をしていた。
「それは、な、あのさ…」
 しどろもどろ。
 分かんないよ、まーくん。
「俺、いつも言葉足りないから」
「え?」
「昨日、俺、を泣かせたから。お詫び」
 まーくん?
 起きてたの?
「ごめんな。俺、のこと、大切だから。愛してるから」
 嬉しい。
 嬉しい。
 嬉しいよ、まーくん。
「考えてみたらさ、昨日の俺、スゲーに冷たかったなって」
「…まーくん」
「安心するんだ。ココに来ると。といると。最近忙しかったから、寝不足で、疲れ溜まってて。ココに来れば全てが癒されるような気がしたんだ」
 まーくんが苦笑する。
「実際、スッキリはしたんだけど、俺のワガママでを泣かせちゃったな。ゴメンな?俺、超後悔してるんだ」
「いいよ…」
 いいよ。
 私がまーくんに必要とされているだけで嬉しい。
 大切だって言ってくれて嬉しい。
 愛してるって言ってくれて嬉しい。
 幸せ。
 私、幸せだよ。
「まーくん、大好き」
「俺も、が大好きだよ」
 二人で笑いあう。

 ねぇ、まーくん。
 まーくんのこと、愛してる。
 まーくんの仕事が忙しくて、あんまり会えないけど。
 だけど、会えない分も会ったときに感じあいたい。
 私、幸せだよ。
 まーくんのこと愛してて。
 まーくんに愛されてて。



あとがき
みほりんさんへのキリ番3400人目ありごとう小説です。
LOVE②でバカップルのハズが、よく分からない話になってしまいました。
許してくだせぇ。(汗)