嫌い?それとも、



「岡田ぁ!」
 後ろから呼ばれて振り返る。
 博やった。
「今日さ、一緒に食事行かない?」
 今日?
「いかへん」
 今日は家でゆっくりしたいねん。
 最近忙しかったから疲れがたまっとるんや。
「えー??なんでぇ!?」
 博は元気やなぁ。
 ホンマ、羨ましいわ。
 俺より全然年上やのに、体力あるんやもん。
「ホントに岡田行かないの?」
「なんやねん。しつこいで」
 俺が疲れとること、博やったら分かるやろ?
「だって、3人で食事しようと思ってたから」
「…3人?」
 博と、俺と、あと誰や??
ちゃん、来るんだけど」
「行く!」
 即答してしもぅた。
「あはは、わかりやすい奴」
 なんやねん!
 博、笑いすぎ!!
「ほら、行くぞ?」
「あ、あぁ」

 博の車に乗って着いたのは、焼き肉屋。
ちゃん、あっちにいるよ」
 店内を覗いて博が言った。
「あ!博くん!!」
 先にテーブルについてたちゃんが手をあげる。
 今日はスーツや!
 初めて見た。
 なんか、いつもと違って見える。
 大人っぽいっていうか、大人の女っていうか。
 いつもより魅力的なカンジ。
「おい!岡田!こっちこいよ」
 博に呼ばれて正気に返る。
 あかん、トリップしそうになっとった。
「あれ!?岡田くんも一緒だったの??」
 なんや、その言い方。
 俺、来たらあかんかったんか?
ちゃん、久しぶり」
 それでも、負けへんよ。俺は。
 とびきりの笑顔で返すもん。
「うん。久しぶり」
 あ、よかった。
 ちゃん、笑ってくれた。
「博くん、暇そうなメンバー連れて来るって言ったから、てっきりまーくんだと思ってた」
 少し拗ねたようにちゃんは博を見た。
「え?坂本くんがよかったの?」
 博、ソレは言わんといて…。
「何言ってんの!?」
 ちゃんが怒ってくれた。
 よかったぁ。
「まぁ、それより、俺お腹空いたな。焼き肉食べようよ」
 博は笑顔で言う。
 相変わらずマイペースやな、この人。
 まぁ、ソレは俺もか。
ちゃん、何が食べたいん?」
「カルビ!」
 即答。
 好きなんやろな、カルビが。
「じゃぁ、取り敢えず…」
 博が店員呼んで勝手に注文し始めた。
 まぁ、博に任せておけば間違いはないやろうけど。

 何でや。
 何でちゃん、博とばっか楽しそうなん?
 俺がなにか言っても、それに応えるだけで。
 そのまま時が過ぎて。
 もう、店を出ようかとしてる。
 せっかく会えたんに、これじゃ悲しい。
「岡田、悪いけどちゃん送ってくれる?」
 博が突然言った。
「博くん??」
 俺とちゃんが二人して博をを見る。
「俺、ちょっと用があって送れないんだよ」
 博がちゃんに言う。
「いいよ、一人で帰れるもん」
 もしかして。
 考えたくはないけど。
 俺と、帰りたくないんかな?
「だめだよ。女の子がこんな時間に一人で外にいちゃ。危ないでしょ?」
「だけど…」
「だけどじゃないよ。それで何かあったらどうすんの?」
 なんか、博強引やな?
 もしかして、俺のため?
「ね?岡田に送らせるから」
 ちゃん、そんなに俺が嫌なん?
「…分かった」
「じゃ、ヨロシクね、岡田」
 満面の笑みの博。
 何、一人で満足してるんや?
ちゃん、またね♪」
 博は、そのまま去っていった。

 無言。
 二人で歩き出してだいぶたつけど。
 何でか黙ったまま。
 ちゃん、何も言ってくれん。
 俺から話しかけてもええんやろうか?
 せっかく一緒に帰っとるのに、黙っとるまま。
 何や、もったいないというか。
「ねぇ、岡田くん」
 え?
「何?」
 ちゃんが話しかけてくれた。
「今日、ゴメンね」
「ん?」
 何を謝ってるんや?
「焼き肉、付き合わせちゃって」
「あ?ええよ、楽しかったし」
 ちゃんに会えたし。
「でも、もしかして、博くん無理に連れてきたんじゃない?」
 …は?
「そんなことないで?」
「本当?だって、私が…」
「…ちゃんがどうかしたん?」
 ちゃんの足が止まった。
「私ね、ずっと岡田くんを避けてた」
 やっぱり、そうやったんや?
 面と向かって言われると、ツライな。
「なんとなく、そうかなって思ってた」
 俺は、微かに笑うことしか出来なかった。
 ツライよ…。
「ゴメンナサイ…」
 あやまられても、な。
「俺のこと、嫌いなん?」
 自分で言って傷ついた。
 ちゃんに嫌われとったら、俺、どうしたらええんかわからん。
「そんなこと、ないよ」
「そしたら、何で?」
 何で俺を避けるん?
 顔も上げてくれないし。
「私ね、怖かったの」
「怖い?俺が?」
 何か、恐がらせるようなことしたやろうか?
「違うの」
「そしたら、何?」
「…これ以上、近づいたら」
「近づいたら?」
「…これ以上、好きになるのが怖かった」
 え?
 今、何て言った?
「岡田くんのこと、好きになるのが怖かったの」
「何で?」
 ちゃんはうつむいたまま。
「だって、岡田くんが、私のこと好きになってくれるなんて傲慢なこと、思えないから」
「傲慢?」
「だって、立場が違いすぎるでしょ?だけど、もう、我慢できないよ」
 立場?
 俺がアイドルってことか?
 そんなの、関係ないのに。
「好き。私、岡田くんのことが好き」
「ありがとう」
 俺は、ちゃんを抱きしめた。
「お、岡田くん?」
「俺と、付き合って下さい」
「え?」
 何も、迷う必要なんてない。
「返事は?」
 ちゃんは、驚いたまま固まってる。
「もう一回言うよ?俺と、付き合って下さい」
「…は、はい」
 答えてくれた。
「よっしゃ!」
 思わずガッツポーズ。
「お、岡田くん?」
「よかったー!!俺、もう、ちゃんにすっげー嫌われてるんじゃにかって思い込んでてさー。すっげー報われない恋?ってカンジだったんだよ!!」
 思わずまくし立てた。
「ずっと、俺、ずっとちゃんが好きだったんだ」
 やっと出来た告白。
 届いた思い。
 君を誰より大切にする。
 何よりも。
 ずっとずっと、君を愛し続けると誓うよ。



あとがき
みほりんさんへのキリ番17000人目ありがとう小説なのです。
ええと、だいぶおそくなってしまいました。申し訳ないです。
これからも見捨てないでやってくださると嬉しいです。