一歩ずつ。
「鍋がいい」
目の前に座ってハンバーガーを頬張っている彼氏が言う。
行動は可愛いんだけど、言ってることが可愛くない。
「だって、私作れないもん!」
「冬っていったら鍋でしょ!鍋!!」
「そうかもしれないけど…」
私、あんまり料理できないんだもん。
言えなくて、言葉を飲み込む。
お母さんに色々教えて貰って、ようやくお菓子とか、お弁当とか作るのが精一杯なのに。
今度健くんの部屋に行ってみたいって言ったら、出された条件が「手料理」。
中学生の時、家庭科の授業はあんまり真面目にやらなかったし。
高校にはいって調理の授業は選択してないんだもん。
いきなり鍋とか言われても無理だよ。
健くんみたいに大学生で、一人暮らししてたら少しはできるようになってるのかもしれないけど。
私、高校生のおこちゃまで。
「鍋作ってくれなきゃ家に入れないから」
私より大人なのに、健くんは子どもみたいに言う。
「私、作れないもん…」
無理だよ。
私、一人じゃ料理なんて出来ない…。
「なんで作れないの?」
健くんは相変わらずハンバーガーを食べながらこっちを見てる。
こっちはポテトすら気が進まない状態なのに。
「だって、一人じゃ無理だもん」
「なんで?」
どうしてそんなこときくの?
「一人で作ったことなんてないもん。いつもお母さんに手伝ってもらってるもん」
「知ってるよ」
健くんから意外な答え。
「分かってるならどうしてそんな意地悪言うの?」
「意地悪?そんなつもりないけど」
って、意地悪以外のなにものにも思えないんだけど…。
「はお母さんがいなきゃ料理作れないっていうんだったら、いつまで経っても一人で作れるようにならないよ?」
そうかもしれない。
だけど…。
「やってみればいいだろ?一人で料理できるようになるための練習だよ」
「だけど、失敗したら…」
「俺、の作ったものなら何でも食べるよ?」
健くんが笑顔で言ってくれる。
きっと、ウソじゃない。
「本当にピンチになったら、俺が助けてやるから」
「本当?」
「うん。隣で見てるよ」
「だったら、頑張ってみようかな」
健君が応援してくれるなら。
「急がなくていいんだよ。ゆっくりでいいから。一人で料理が出来るようになったら。それってすごい事じゃない?」
「そうだね」
なんだか嬉しくて、元気が出てきた。
「、ハンバーガー食べないならもらっていい?」
ちょうどおなかがすいてきたところでこの質問。
「だーめ!!私が食べるの」
渡せません。(笑)
「そっか。残念」
健くんは笑顔のまんま。
「何?」
不思議に思って聞いてみる。
「ん?早く一人で料理できるようになって欲しいなーって。すこしずつ大人になっていけばいいんだよ」
…大人。
決して私と健くんの年の差が縮むなんて事はないけど、少しずつ追いついて行けたらいいな。
健くんとつりあうくらいの女になりたいな。
あとがき
いかさんへの27888人目ありがたう小説です。
リク、正直苦しかったっす。(爆)
頑張ったからゆるして~!!(とかいう割に遅すぎ