待ち合わせしよう!?
午後五時半。
待ち合わせの時間だっていうのに、私は何故か三十分も早く着いてしまった。
っていうか、やっぱ、ほら、相手を待たせたくないから、早く支度しなきゃって思うじゃない。
にしても、今日は早すぎたかも。
近くの喫茶店にでも入って時間潰そうかなぁ。
「あれ?じゃん?」
ぼーっと考え事している私に声をかけてきた人がいた。
「あ、健くん」
こんなところで会うなんて、世間は本当に狭いんだなぁ。
「どうしたの?待ち合わせ?」
いつも通り、満面の笑みで話しかけてくれる。
私、この笑顔が好き。
「うん、そうなの」
ちょっと気まずく答える。
そうだよね、こんな所にぼーっと突っ立てるのおかしいもんね。
「を待たせるなんていい根性してるね?」
うぁ。
健くんが黒く笑ってる。
「違う違う!私が三十分も早く着いちゃったの」
弁解したら。
「なんだー、そっかー。はいい子だねー」
普通の笑顔に戻ったし。
なんていうか、健くんのギャップにはいつも驚かされるんだよね。
嫌いじゃないけど。
「健くんこそ、どうしてここに?」
素朴な疑問を口にしてみる。
「どうしてだと思う?」
あう。
そんなこといわれても。
「に会うためだよ」
まただ。
ほんと、健くんもニノもこの手の冗談が大好きなんだよね。
あ、そうだ。
「え!?ストーカー!?」
変態を見るような目を健くんに向けてみる。
「違うよ!偶然だって偶然!」
健くんがあわてて否定した。
なんか可愛いかも。
「でもさ、こうしてるとまるでナンパされてるみたいだよね、私」
男性が声をかけて、女性が立ち止まって。
道中で立ち止まってる二人。
どう見てもナンパでしょ?
「だって、ナンパしてるんじゃん?」
健くんが不意に私の手をとった。
「はなれろよ!」
いきなり、健くんと私の間に人が割り込んできた。
「なんだよ、ご挨拶だなぁ」
思いっきりテンションの低い健くんの声。
「先輩、大丈夫?何かされなかった?」
そういって心配そうに私を見てるのは、 ニノ。
「別に何もされてないけど」
っていうか、ニノが乱入したことで通行人の注目を浴びちゃってることの方が私には問題なんですけど。
「なんでおまえがここにいるんだよ?」
健くんの辛辣な声がニノに向けられる。
「三宅先輩こそなんでこんなところに?まさか、先輩をストーキングしてたんじゃないでしょうね?」
ぶっ。
この子、私と同じ事言ってるよ。
「はぁ?俺の何処がストーカーなわけ?むしろそれはおまえだろ?」
やばい。
「うわ、最悪ですね。自分の悪態を認めたくないからって他人に押しつけるなんて」
はじまったよ。
「それはおまえの方だろ?タイミングを見計らって出てくるなんて、気持ち悪いくらい計算してるんじゃないのか?」
この二人、口げんか始めたら止まらないんだよね。
毎回ネタにされてる私の迷惑も考えて欲しい。
あ。
ありがたいことに、私、今回は捕獲されてないですね?
いつもなら、抱きつかれてたり腕つかまれてたりするけど。
今なら逃げられる気がする。
止まらない二人の口げんかはヒートアップしてるし。
おかげで野次馬も増えつつ。
一歩ずつ、二人から遠ざかってみる。
二歩、三歩、四歩。
五歩目。
二人が同時に私を見た。
「「どこいくの?」」
見つかった!
やばい。
今此処で捕まったら。
きっと、街中なのもかまわずにさらにヒートアップした漫才のような喧嘩を繰り広げてくれるに違いない。
それは、勘弁!
「」
二人とは違う方向から私を呼ぶ声がした。
それは、待ち人の声。
「翔くん!」
声のした方を向く。
路駐した車の窓から叫んでいだ。
「走れ!」
私はその声に弾かれるように駆けだした。
「ちょ!?!!」
「先輩!どこ行くんですか!」
二人が追いかけてくる気配を背中に感じながら、とにかく車に向かって走った。
車に飛び乗ると、翔くんはすぐに車を走らせた。
追いつけなかった二人がだんだん遠くなっていく。
「はぁ」
「大丈夫?」
ため息をつくと、翔くんが話しかけてきた。
「うん、まぁね」
「ごめんな。もう少し早く行けばよかったな」
そういわれて時計を見たら、まだ五時五十分。
「まだ六時なってないじゃない」
苦笑い。
翔くんも苦笑い。
「あの二人、あきらめわるいよな」
翔くんが呟いた。
「え?」
まだ二人が走って追いかけてるのかと思って、後ろを振り返ったけど、姿はなかった。
「ま、これだもんな。しょうがないか」
話はよく分からなかったけど、翔くんが微笑んだことは分かった。
「ねね、今日は何処行くの?」
「んーと、そうだなぁ……」
今やっと、待ち合わせ時間の六時。
翔くんとのデート開始。
あとがき
いかさんへのキリ番42100報告ありがちょー小説です。
おそくなってごめんよぉ。
しかも、リク内容と逆の方向いっちゃってます。
すみません。
きっと愛の大きさの差です。(最悪)