ギフト



「ねぇ翔ちゃん」
 ニノが満面の笑みで翔くんの前に立った。
「な、なに?」
 この笑顔、くせ者なんだよね。
「そろそろ松潤の誕生日じゃない?」
 あれ?
 ニノなのに普通。
「そ、そうだね?」
 ほら、翔くんも怪しがってるよ。
「だからさ、みんなでプレゼント買いに行かない?」
 おぉ?
 何だろう、信じられないけど、ニノがいい人だ。
「お前、気が利くなぁ」
 名案! とばかりに、翔くんの顔が明るくなる。
「みんな、って私も入ってるのかな?」
 少し離れて眺めていたけれど、誕生日ってことなら、参加しないと。
「もちろんだよちゃん」
 ニノがこちらを向く。
 やっぱり満面の笑み。
「ここには僕たち三人しかいないだろう?」
 そして軽くセリフ口調。
 怖い。
 やっぱり怖い。
「そうと決まれば、早速買いに行こうよ!」
「そうだね!」
 気付かないのか、諦めているのか。
 翔くんはノリノリのニノと一緒にテンション上げ気味。
 なんか私が怖がってるのもアホらしくなってきた。
「何やってんのちゃん。ホラ、行くよ」


 で。
 結果報告。
 やっぱりニノはニノでした。
「松潤、ちょっと早いけど、お誕生日おめでとう!」
 仲良く、翔くんとニノは松潤にプレゼントを渡している。
 一見仲良し、素敵な風景。
 だけど、違うと思う。
「これ、オレとちゃんから」
 翔くんは微かに真実の言葉を吐いた。
 そう、翔くんと私から。
「僕が選んだんだ」
 ニノは嬉しそうに言い足す。
 選んだのはニノ。
「ありがとう! すっげー嬉しい」
 松潤は、純粋に喜んでくれていると思う。
 それはとってもいいことだし。
 私も喜んでいるんだけど。
 胸の中に小さく引っかかるニノという存在。
 なんていうか。
 まんまとハメられた?
「さすがニノだよな。松潤がなにが欲しいのかちゃんとリサーチしてるんだぜ」
 そう、私と翔くんは、ありきたりなモノしか思いつかなかった。
 だからこそ、ニノの提案を受け入れた。
 罠だと分かっていても、松潤の為を思うと、避けられなかった。
「三人とも、ありがとう」
 松潤の言葉に、胸が詰まる。
 喉から出そうになる言葉を押さえ込むのに必死な自分が情けない。
 "ニノは一円も出してないから!!"
 そんなこと言ったら、この場をぶちこわし。
 言えるわけ無い。


「ねぇ、翔くん」
「ん?」
 強者どもが夢の後。
 松潤の誕生祝いを済ませ、二人だけが部屋に残っていた。
「ニノにやられたね」
 私はため息をついた。
「うーん、そうだなぁ」
 はしゃぎ疲れたのか、翔くんはボーっとしながらも応えた。
「でもさ、誕生日を祝うって、やっぱ気持ちの問題でしょ?」
「そうだね」
 そうなんだよね。
 だからこそ、責められないっていうか。
「ニノもさ、ちょっとケチなところはあるけど、すごくいいヤツだし」
「うん」
 そう、ちゃんと誕生日を覚えていたり、祝ってくれたり。
 それって、すごいことだと思う。
「オレの方が年上だしさ、多少金銭面に関してはこっちが負担するべきかな、とも思うし」
 え?
 全額って多少なの?
「多少って、ちょっと度を超えてるとは思わない?」
 正直に言ってみる。
「そうかな? 頼って貰えてると思えばさ、なんか嬉しいじゃん」
 ええと、なんか、もう、私の方が間違ってるのかな?
「翔くんは優しいんだね」
 その場凌ぎとも、皮肉ともわからない言葉を口にする。
「ありがとう」
 翔くん笑顔だよ……。

 なんだか自分だけ違う世界にいる気がしてきたのでした。



あとがき
弥子さんへのぞろ目44444記念小説です。
一年も待たせてすみませんでした。
そして内容がこんなのですみませんw