あれ。



 どうしたもんだか。
 今更かもしれないけれど。
「はぁ」
 思わず、ため息をつく。
「どうしたの? ため息なんてついて」
 博くんが、キョトンって顔でこっちを見てる。
 あなたのことなんですけど。
「どうしたもんかなぁって思って」
 素直に言葉にしてみる。
「え? 何が?」
 博くん、ひよこっぽい。
 いや、そうじゃなくて。
「この状況?」
 この、食事。
「ん? おいしいよね?」
 そうだね。
 おいしいよ。
 とってもおいしいんだけどね。
 気になって仕方ないんだよね。
「いつも、美味しい料理食べれるのはうれしいんだ」
 それは、間違いなく。
「でもね」
 でもさ。
 つくづく思うのよね。
「はぁ」
 言葉を飲み込んだ。
 なんか、言葉にしたくない。
?」
 博くんに言っても、たぶん、どうにもならないし。
 むしろ、そうじゃないと博くんじゃないし。
 それなのに。
 そうなんだけど。
 なんだろう。
 つくづく思っちゃうんだ。
「博くんってさ、なんていうか、あれだなぁ、と」
 嫌いじゃないんだよ?
 大好きなんだよ?
「あれって?」
 不思議そうな顔して、私を見ている博くんも大好きだし。
 おいしそうにご飯食べてる博くんも大好きだし。
 それでも、思わずにはいられない。
「変態だよね」
「え!?」
 心底驚いたようなリアクション。
 いや、それに驚きだよ。
 みんな思ってるから。
 博くんのこと、変態だって。
「な、なんで?」
 言わせるの?
 言っていいの?
「食に対する欲求っていうか、そういうの、もう、変態の域だとおもうよ」
 間違いなく。
 博くんと食事したら、きっと、誰もがそう思う。
「おいしいものが食べたいだけだよ?」
 慌てて言ってるけど。
 だからね。
 度が過ぎてるんだってば。
「え? 僕、このままじゃに嫌われちゃう? どうしよう!」
 あ、なんか本気で焦ってる?
 別に嫌いにはならないけど。
「嫌いじゃないよ。悪いことでもないし」
 そう。
 ただ、つくづく思うだけ。
 この人、本物の食の変態だなぁって。
「ホント? 嫌わない?」
「うん。大丈夫」
 たとえ、ご飯食べながらテーブルの下で腹筋してても。
 一口食べた途端、素材を隠し味まで言い当てていても。
 だけど。
 つくづく変態だって思っちゃうから。
「ため息ついちゃうのはゆるしてね」



あとがき
遅いにもほどがありますが、許してください。
長野さんいちゃいちゃってことですが、なってるんでしょうか?w
キリ番44000記念です。