恋人は細目のアイドル



「なんでアイドルってだけで、こんな細目が好きかなぁ…」
快彦「何言ってんの!?」
 それはめずらしくオフの日のデート中、がこぼした台詞。

 朝11時にの家の近くの公園で待ち合わせ。
 今日のデートはそこから始まった。
 俺の計画では、二人で飯を食って、ぶらぶら街で遊んで、うまくいけばHまでたどり着くはずだった。(どーせ俺はエロいよっ!!)
 なんでかなぁ。
 普段は街を歩いててもあんまり俺がV6の井ノ原快彦だなんて気付かれないのに、今日に限って気付かれてしまう。
 とのデートのはずなのに、全くデートになってない。
 俺が予約した店まで30分。
 全然と話せなかった。
 ファンを追い払うなんてことは出来なかった。これでも一応アイドルだから。
 サインとか、握手とか、写真とかは全部断った。(勝手に写真撮るやつとか、俺に触ってくるやつとかいたけど)どう考えてもデートの最中にすることじゃない。
 なぜかたくさん集まってしまったファンに、俺とは引き離されていた。
 けれど、を引き寄せるわけにもいかない。
 それをすれば、が彼女だとバレてしまう。
 いや、バレるのは構わない。本当は公表したいくらいに思っている。
 でも、俺たちのことがバレたら、に迷惑がかかってしまう。
 ファンやマスコミに追われることになるだろう。もしかしたら、心ない人間がに嫌がらせなんかをするかもしれない。考えてみただけで恐ろしい。
 を傷つけたくない。
 が彼女だと言えないまま俺は店に向かう。
 一定の距離を保ってが後をついてくる。
 に対して、俺は感謝の気持ちと、悪いことをしたという気持ちを感じた。
 こんなはずじゃなかったのに。

 レストランは個室を予約しておいた。
 おかげで邪魔者は消えた。(酷)
 部屋に入って一言、が言った。
「何でアイドルってだけでこんな細目が好きかなぁ…」
快彦「何言ってんの!?」
 の言葉が何を意味しているのかわからなかった。
 俺とつき合うのに疲れたのだろうか。俺がアイドルしてることがいけないのだろうか。
 わからない。
快彦「、どういう意味?」
 正直にたずねる。
 考えても答えは出ない。
 それなら、こじれる前に聞いた方がいい。
「メーワクだって言ったの」
 溜息混じりに答える。
 しかし、意外に声は明るい。
「何で私、こんなヤツを好きになったんだろうね、って言ったの」
 が笑う。
快彦「っ!」
 あんまり嬉しいからに抱きつく。
 めいっぱいの包容。
「快くん痛いって////」
快彦「ごめんね。いつも、俺、迷惑ばっかかけてるよな」
「だって、快くんアイドルだもん。仕方ないよ。快くんがアイドルなの知って手惚れちゃった私がイケナイのよね」
 なんて、可愛いことを言う。
快彦「愛してるよ」
 口づけ。
「もぉ、快くんてば///」
 あきれたように言う。
 けれど、俺はを離さない。つーか、離れない。
 この抱き心地が…。
「って、このエロ目!!なんで尻触ってんのよ!ご飯食べにきたんでしょ!?」
 あはははははは。
 しょーがないじゃん。だって俺だもん。

 飯を食い終わって、今から何処に行こうかと話していたら、親切な店員が店の外に俺のことを張って出待ちしているヤツが結構いると教えてくれた。
「残念だけど、今日は食事だけかな?」
快彦「えーっ!そんなっ!!せっかくのオフなんだぜ!?と久々に長い間一緒に過ごせると思ってたんだ!!ここでサヨナラは絶対だめ!!」
 夜明けのコーヒーが飲みたいんだぁ!
「今、何か考えなかった?」
 バレてる。
快彦「それより、どうやって此処を抜け出すか考えないと…」
「そうね。快くんの下心は置いといて…」
 ホントは置かれたくはないんですケド。
「逃げるなら、車が最適だよね。タクシーかな?」
快彦「タクシーがこれ見よがしに店先に止まってたら別のタクシーで追いかけられそうだしな」
「じゃ、誰かに車だしてもらう?」
快彦「そっか。そうしよ」
 ポケットから携帯を出す。
「誰にかけるの?」
快彦「長野博様☆」
 tululululululul…
博『もしもし?井ノ原?ちゃんとデート中なんじゃなかったの?』
 電話とった途端それかよ。
快彦「デート中なんだけどさ」
博『ふーん。デート中なのに何の用?』
快彦「車で迎えに来て欲しいんだよねー」
博『何で?』
快彦「それがさぁ、今、長野くんに教えてもらった店にいるんだけど、外にファンが張ってて身動きとれないんだよね」
博『ちょっとマテ。その危険地帯に俺まで行ってどうすんだよ』
快彦「あ、そっか」
博『バカ』
快彦「ヒデェ。でもさ、せめてお知恵を拝借出来ないかしら~?長野大先生♪」
博『うーん。ま、いいや。ちゃんにも会いたいし」
快彦「ありがとうっ」
博『どーせなら、他のメンバーも呼んで遊びましょうかねぇ~』
快彦「え!?」
博『俺をパシらせといて、自分だけオイシイコトしようとか思ってるわけないよね?』
 さすが、白い悪魔。
 優しいようで実はとんでもなく残酷だったり。(今回は明らかに故意)
博『電話代わって。ちゃんに』
 何で?
快彦「、長野くん」
 そのまま携帯を渡す。
「もしもし?」
 俺は携帯に耳を近づけて二人の会話を盗み聞き。(いや、堂々とやってるけど)
博『やぁ、ちゃん。お久しぶり』
「お久しぶりです~」
博『なんか、井ノ原のせいで困ってるらしいね』
「そうなんですよ~」
 ってオイ。
博『まぁ、今から王子様が車に乗ってお姫様を迎えに行くからまっててくれる?』
「本当ですか?わーい。うれしいな☆」
 何で王子様が長野くんなんだよ。
博『じゃあ、そうだなぁ。あと30分くらい待っててくれる?』
「わかりました!けど、何で30分も?」
博『王子様としては、家臣も用意したいんだよね♪』
「なるほど☆」
 いや、わけわかんないって。
博『近くまで行ったら連絡するから』
「じゃぁ、店の中で待ってます」
博『そうだね。そうしといて』
「ホント、うちの快くんが迷惑をおかけします~」
博『いえいえ。慣れてますから』
 おいおいおいおいおいおい。
「それでは、また~」
博『また後でね♪』
 お前ら、二人とも悪魔だろ。

 迎えに来た王子様(長野くん)は、お姫様()だけを車に乗せて去っていった。
 店に置き去りにされた俺。
 ここで待ってろって言われてもねぇ。
 あーあ、がいないとつまんないよぉ~。今日は二人っきりのデートのはずだったのにぃ。
 長野くんが何を考えているのかさっぱり分からない。…は分かってるみたいだけど。(爆)
 一人で店に待機してると、聞き慣れた声がした。
健「イノッチ~!迎えにきたよ~」
 みれば、剛もいる。
剛「うひょひょひょひょひょ。置き去り~」
 笑うな。
健「は~い。移動しますよ~」
 健が俺の腕を掴んで店から連れ出す。(裏口)
 タクシーに押し込められ、剛が行き先を告げる。
 それは意外な場所だった。

 って、俺ん家じゃん!?
快彦「どうやって入ったんだよ!?」
博「え?合い鍵に決まってんじゃん」
快彦「だから!何で持ってんだよ!?」
博「そりゃ、ちゃんしか持ってる人いないでしょ?」
 あっさりと~!!!
 を睨む。
「あ!健くん、剛くん、お久しぶりデス。いつも快くんがお世話になってます☆」
剛「お~!久しぶり♪」
健「お久しぶりデース」
 何でそこで普通の会話!?
 しかもお世話してるのは俺の方だっつーの。
 なぜそこにツッコミをいれない?
「ねぇねぇ、博くん。何して遊ぶの?」
健「あ、俺たちもソレ聞いてな~い」
剛「でも、アレは決定済み事項なんでしょ?」
快彦「決定済み事項って、何?」
 を見ると、微笑んでいる。
 コイツ、知ってる。
「知りたい?」
 俺以外みんな笑ってる。
 嫌な予感。
「快くんをイジメル☆」
 予感的中。
快彦「冗談だよな?」
 誰一人として言葉を返さない。けれど、笑顔は崩れない。
 ヤバイ。
 コイツら本気だ。
博「ちゃんがお姫様で、俺が王子様。それから、剛と健が家臣ね♪」
 何だそれ。
 長野くん、そんなこと突然言われてもさぁ…。
剛「俺の方が絶対王子様って感じするじゃん!!長野くん代わって!」
健「ずるいよ長野くん!俺だって王子様やりたい!」
 って、馴染んでんのか、お前ら。
博「ちゃんは誰がいい?」
「博くん♪」
博「ね☆」
剛「ヒデェ。即答かよ」
健「なんか悲しい」
「大丈夫♪二人のコトもちゃんと愛してるから~」
 オネーサンのアイシテルはそんなに軽いのデスカ…。(涙)
健「ちゃんとって何だよ!ちゃんとって(笑)」
博「さて、井ノ原の配役なんだけどね…」
 は?俺?俺もするの?
博「メイドさん♪」
 な、何ですと~?
博「ちゃんとエプロン用意したんだよ」
 って言いながらヒラヒラのついた真っ白なエプロンが…。(汗)
「うわー☆似合いそう♪」
 いや、になら似合うと思うよ。裸にエプロンとか。(爆)
 って、そうじゃなくて!
快彦「何言ってんだよ!」
 さすがの俺もノれねぇっつーの。
健「イノッチ着けてよ~」
剛「着けねぇと男じゃねぇって♪」
快彦「なら、お前着けろっ!」
「快くんじゃなきゃヤダ」
 が何故かふくれっ面。
博「メイドさんがお姫様のご機嫌損ねちゃダメでしょ?」
 笑顔で言うなよ、そういうこと。
「快くんがいいの」
 長野くんの腕の中で恨みがましく言う
 かわいい。
 かわいいんだけど、何で長野くんの腕の中なんだよ!
快彦「わかったよ!着ればいいんだろ!」
&博&健&剛「「「「うん」」」」

 俺は近所のコンビニに一人パシらされ、飲み物やお菓子、つまみを買いに行くハメに…。
 さすがにエプロンをはずす許可はでたんだけどさぁ。
 長野くんの思いつきにも困ったものが…。
 ふう。
 玄関前で溜息一つ。
 今日はと二人切りのデートだったハズなのになぁ。
 気合いを入れて終えに入る。
 とりあえず、この状況を乗り切らなければ、と二人きりになることさえ出来ない。
快彦「ただいまー」
 四人が楽しそうに人生ゲームしてやがる。つーか、どこから持ってきたんだよ。
博「遅いよ!井ノ原。姫が喉乾いたって!飲み物をお出しして」
快彦「へいへい」
 ビニール袋の中からに注文されたジュースを取り出す。
剛「待ってよ井ノ原くん」
 に近づこうとしたら、剛が止めた。
健「身分の低い人がお姫様に近づいちゃだめなんだよ~♪」
 言いながら俺の手の中からジュースを奪い取っての所に持って行く。
「ありがとう、健くん」
快彦「身分が低いって何だよ!?つーか、ジュース買って来たのは俺だろ!?何で健にお礼言って俺には一言もないワケ!?」
 わけわかんねーよ、そんなの。
 を睨む。
 長野くんが見せつけるようにを抱きしめる。
快彦「おい!ちょっと!!」
 あせる俺。
剛「ずるい!俺も!!」
 剛までに抱きつく。
博「だめだよ~。これは王子様の特権なの☆」
健「いいなぁ。長野くんは」
「あ、次剛くんの番だよ。ホラ、離れて。続きしよ」
 剛がから離れる。
博「このまま本当に俺のお姫様にならない?」
「え~?どうしようかなぁ?」
剛「え?プロポーズ?」
健「俺も立候補!!」
剛「俺も!」
博「じゃぁ、このゲームの勝者がちゃんの彼氏ね☆」
剛「それ不公平!長野くんゴール目前じゃん!」
「いいんじゃない?それで」
健「本命はやっぱり長野くんなんだ!?」
「そうかも☆」
 何で、そんな楽しそうな顔してるんだ?
 何で、そんな嬉しそうな顔してるんだ?
快彦「何だっていうんだよ!!」
 怒鳴った。
 四人が一斉に俺を見る。
博「まだわからないの?」
快彦「何がだよ!?」
博「やっぱり分からないんだ…」
快彦「だから何が!?」
剛「ダメだねー、この人」
健「ホント。全然分かってないよ」
「快くん自己中さんだから」
博「そうだねー」
 どういう意味なんだ?
 本気でわかんねぇ。(汗)
博「井ノ原にちゃんはもったいないよ」
 は?
 突然ナニ?
博「井ノ原、そんなんじゃぁ、ちゃん幸せになれないよ?」
「博くん、もういいよ」
博「そう?」
「うん。快くんがこーいう、どうしょうもない人だって分かっててつき合ってるんだし」
剛「ちゃん優しすぎ」
健「ノロケお断り~」
 未だ事態が掴めてません。
博「井ノ原、今どんな気持ち?」
快彦「…」
 あせってる。
 ムカツいてる。
 に誰も近づいて欲しくない。
 俺以外の人間が触れるのも嫌だ。
 長野くんにがさらわれそうで怖い。
 メンバーが、長野くんが、そんなことしないのは誰よりもわかっているハズなのに、不安でたまらない。
博「ちゃんはね、今、井ノ原が感じてるよなことを、いつもいつも感じてるんだよ?」
 俺はいつもにこんな思いさせてたのか?
 何も言わないから、は俺のまわりに女の子がいることを気にしないのかと思ってた。平気なのかと思ってた。
 だけど、こんなの平気なわけがない。気にならないわけがないんだ。
快彦「、ゴメン」
「快くん…」
博「さ~て、邪魔者は撤退しますかね~」
剛「ちゃんバイバイ♪」
健「またね~☆」
 三人は家から出ていった。
 俺とだけになった。
快彦「…」
 俺は動けないでいる。
 どうしていいのか、分からない。
「快くん、私のこといっぱいいっぱい愛して。じゃないと、快くんの彼女だって自信持てないから。私の片思いなんじゃないかって思っちゃうから」
 笑いながら、言うなよ。辛いなら、辛い顔しろよ。じゃないと、俺には分からないよ。
 を抱きしめる。
快彦「愛してる。愛してるよ。俺、がいなきゃ生きていけないんだから」
「快くん…」

 それから丸一日、寝る間も惜しんで愛し合いましたとさ(笑)
 ごちそうさま☆(違)



あとがき
ええ、井ノ原さんの話のはずが長野さんだらけに。
愛☆ですかね?(爆)
ごめんなさい。